2015年02月25日
蚕都上田視察同行記3:上塩尻、柳町、蚕都上田館、飯島商店
上塩尻蚕種製造民家群
上塩尻は北国街道沿いの集落です。江戸期、塩尻地区では蚕種製造業が発達し、幕末には既に日本最大級の蚕種製造地となりました。かつては殆どの家々で蚕種製造が営まれていました。現在もなお蚕種製造のための蚕室造りの民家が数多く残っています。「藤本の蚕室」もその一つです。1868年(明治元年)頃に建ったと伝えられています。

蚕室の特徴の一つは屋根の上に細長く伸びる腰屋根です。気抜とも言います。蚕は湿気や乾燥を嫌うため、蚕室内の温度調節、湿度調節のための腰屋根が付いています。

養蚕にとって大敵であった寒さ防止のための埋薪(まいしん)という仕掛けが施されています。韓国のオンドル(温突)に似た仕掛けです。

蚕種製造民家は全国的にはめずらしく、上塩尻に数多く残っています。

上塩尻の集落の特色は蚕室造りの建物が数多い一方で、道路が極めて狭いことです。北国街道から分岐する道を小路と呼んでいます。この小路は馬場姓が多いことから馬場小路と呼ばれています。

上塩尻のメインストリートは北国街道(善光寺道)です。西は善光寺や金沢へ、東は軽井沢で中山道に合流し江戸東京方面へと延びています。まさに日本シルクロードです。

柳町
柳町は北国街道の上田宿です。生糸貿易で栄えた明治以後、繭取引商が集積しました。柳町の歴史ある街並みが保全されています。

蚕都上田館(旧上田市立図書館)
蚕都上田館は1915年に築かれたドイツ様式の洋風建築です。今年2015年、ちょうど築100周年を迎えました。蚕糸業で上田が繁栄し絶頂へと向かう時代の気風を今日によく伝えた数少ない建造物の一つです。

耐震性の課題もあり、今後に向けての観光資源としての活用が課題となります。上田の最大の観光スポットである上田城跡公園に近く、上田はお城と真田氏ばかりではない「蚕都」の遺産があることを知って上田の歴史に関心を持たれる方が少なくありません。

飯島商店
みすず飴本舗こと飯島商店の社屋は1922年に建てられた風格あるある近代建築です。当時の建築としては威容を誇り、また、大正ロマンを体現した建造物です。

老舗に相応しい室内の格調の高さは格別です。来店されたお客さんがその「ハレ」の感覚を抱かれるようです。この度の視察ではお客様でも滅多に上がることのない2階へ特別に案内していただきました。

2階は高級で重厚感のあるホールです。そのホールで、飯島新一郎副社長から飯島商店の歴史的背景をお聞きしました。

飯島商店は社屋の重厚さもさることながら、現在は工場として現役の繭倉庫が現存しています。1894年、当時の上田倉庫の繭集積倉庫として建設されたものです。蚕都上田の駅前風景を現在に伝える唯一の建築物です。

(つづく)
上塩尻は北国街道沿いの集落です。江戸期、塩尻地区では蚕種製造業が発達し、幕末には既に日本最大級の蚕種製造地となりました。かつては殆どの家々で蚕種製造が営まれていました。現在もなお蚕種製造のための蚕室造りの民家が数多く残っています。「藤本の蚕室」もその一つです。1868年(明治元年)頃に建ったと伝えられています。

蚕室の特徴の一つは屋根の上に細長く伸びる腰屋根です。気抜とも言います。蚕は湿気や乾燥を嫌うため、蚕室内の温度調節、湿度調節のための腰屋根が付いています。

養蚕にとって大敵であった寒さ防止のための埋薪(まいしん)という仕掛けが施されています。韓国のオンドル(温突)に似た仕掛けです。

蚕種製造民家は全国的にはめずらしく、上塩尻に数多く残っています。

上塩尻の集落の特色は蚕室造りの建物が数多い一方で、道路が極めて狭いことです。北国街道から分岐する道を小路と呼んでいます。この小路は馬場姓が多いことから馬場小路と呼ばれています。

上塩尻のメインストリートは北国街道(善光寺道)です。西は善光寺や金沢へ、東は軽井沢で中山道に合流し江戸東京方面へと延びています。まさに日本シルクロードです。

柳町
柳町は北国街道の上田宿です。生糸貿易で栄えた明治以後、繭取引商が集積しました。柳町の歴史ある街並みが保全されています。

蚕都上田館(旧上田市立図書館)
蚕都上田館は1915年に築かれたドイツ様式の洋風建築です。今年2015年、ちょうど築100周年を迎えました。蚕糸業で上田が繁栄し絶頂へと向かう時代の気風を今日によく伝えた数少ない建造物の一つです。

耐震性の課題もあり、今後に向けての観光資源としての活用が課題となります。上田の最大の観光スポットである上田城跡公園に近く、上田はお城と真田氏ばかりではない「蚕都」の遺産があることを知って上田の歴史に関心を持たれる方が少なくありません。

飯島商店
みすず飴本舗こと飯島商店の社屋は1922年に建てられた風格あるある近代建築です。当時の建築としては威容を誇り、また、大正ロマンを体現した建造物です。

老舗に相応しい室内の格調の高さは格別です。来店されたお客さんがその「ハレ」の感覚を抱かれるようです。この度の視察ではお客様でも滅多に上がることのない2階へ特別に案内していただきました。

2階は高級で重厚感のあるホールです。そのホールで、飯島新一郎副社長から飯島商店の歴史的背景をお聞きしました。

飯島商店は社屋の重厚さもさることながら、現在は工場として現役の繭倉庫が現存しています。1894年、当時の上田倉庫の繭集積倉庫として建設されたものです。蚕都上田の駅前風景を現在に伝える唯一の建築物です。

(つづく)
旧藤本蚕業土浦支店の現地調査
蚕都上田視察同行記4:常田館製糸場
蚕都上田視察同行記2:信大桑園、海野宿、大屋駅、カネタの煙突
蚕都上田視察同行記1:蚕神像、上田蚕種、藤本つむぎ工房
That's 上田つるし飾り
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Posted by 蚕都上田プロジェクト at 17:31│Comments(0)
│蚕都上田の歴史遺産